スーパーの店頭に並ぶおびただしい加工食品の成分表示には「澱粉」「でん粉」「でんぷん」「デンプン」「スターチ」と色々な述語が見られる。でん粉は他の漢字と同様に中国からの伝来語のように思われがちであるが、実は今から150年前にオランダ語からの訳語として出来たことが実証されている。
すなわち、幕末の医者、洋学者として有名な宇田川榕菴のオランダ語の有機化学の訳本である『舎密開宗』(1837年)中に「澱粉」の文字が見出されている。これは英語のSet Mealに相当するオランダ語Zink-Poederを「沈殿しやすい粉」すなわち「澱粉」と訳したわけである。
さらに翌年『植物啓原』を著し、でん粉の記述を意訳すれば「葛粉、漿粉、天花粉などを総称してでん粉という。根と種子にはでん粉が多い。水に溶けず、放置すれば沈んでしまう。水にまぜて180度(摂氏82度)に加熱すると凝固して糊となる。でん粉は水素、炭素、酸素よりなる」となり、でん粉の基礎的特性は今日でも通じる。
現在世界で生産されるでん粉のほとんどはコーンスターチ、小麦でん粉、馬鈴薯でん粉、甘藷でん粉、タピオカでん粉である。でん粉は原料の種類により異なる物性を有しているので加工食品の要求特性に応じて使用され、利用方法も種々工夫されている。
でん粉の顕微鏡写真:400倍(写真をクリックすると大きな写真がご覧になれます)
でん粉に各種加工を施して本来の構造や物性の一部を改質、改善したでん粉が「天然でん粉」に対する「加工でん粉」である。
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